消費税のインボイス制度の導入まで残り約4カ月となりました。
免税事業者がインボイス発行事業者(課税事業者)となることで、新たに消費税の納税義務が生ずることになります。
さらに、法人税・所得税の課税所得にも影響が生ずることになります。
例えば、法人で売上金額が770万円(すべて消費税10%課税取引)、損金となる費用等の金額が530万円(うち消費税10%課税取引が330万円、対象外取引が200万円)の場合の課税所得は、それぞれ以下のとおりです。
1.免税事業者の課税所得
免税事業者は消費税の納税義務がありません。
課税所得:売上金額770万円-費用等の金額530万円=240万円 となります。
経理処理としては、税込経理方式しか認められておらず、売上金額又は費用等の金額に消費税等相当額が含まれていたとしても、その金額を考慮する必要はありません。
2.課税事業者の課税所得
経理処理としては、税抜経理方式と税込経理方式の2種類がありますが、いずれを採用したとしても、法人税の課税所得は同額となります。
• 仕入控除税額の計算を原則課税で行う場合の課税所得は、以下のとおりです。
770万円-530万円-40万円(注1)=200万円 (税込経理方式)
(注1) 課税売上に係る消費税等70万円-課税仕入れに係る消費税等30万円
=消費税等納税額40万円
なお、簡易課税又は2割特例(インボイス制度導入時)を適用する場合には、上記の消費税等納税額が変わり、それにより課税所得も変わることになります。
3.免税事業者と課税事業者との比較 (単位:万円)
売上金額 | 費用金額 | 消費税等納税額 | 課税所得 | 法人税等納税額 | 差引金額 | |
---|---|---|---|---|---|---|
免税事業者 | 770 | 530 | 0 | 240 | 60 | 180 |
課税事業者 | 770 | 530 | 40 | 200 | 50 | 150 |
免税事業者から課税事業者となった場合には消費税等の納税額が増える一方、法人税又は所得税の課税所得はその分だけ減少します。
• 消費税等の納付額は、法人税又は所得税の計算上、課税所得から控除することができます。
法人税等(地方税含む)の税率を約25%とすると法人税等の税負担減少額は、40×25%=10となり、消費税等の増加分40と合わせると税負担の増加合計額は30になります。
免税事業者の時と比べてどれほどキャッシュが減少することになるか、消費税等のみでなく、法人税・所得税・地方税を含めたところでの影響を検討する必要があります。
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